おやつはよく食べますが、ごはんを食べません。
本来子どもはおなかがすいていると食べます。体を十分に動かす活動を取り入れてみましょう。ごはんの盛りつけは多く盛らず、食べきれる程度にして「きれいに食べたね」とほめてあげる場面も作りましょう。食わず嫌いもあるでしょうから、少しずつでも食べて「おいしいね」と共感することも大切です。
食べないからといってお菓子を与えることは避けましょう。お菓子やジュースの買い置きもしないように気をつけたいですね。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

少食で、食べることに関心がありません。
食事の量には個人差があります。少食だけど健康な子どももいますので、食事のバランスが取れていて元気であればあまり心配しない方がいいでしょう。よく遊んで顔色もよく、排便をきちんとしているかをチェックしてみてください。食事の際には、子どもが食べ切ったという達成感を味わえるように、量が多いようなら子どもの目の前で少し減らして、「少なくしたから、全部食べようね」と働きかけてみましょう。このときも楽しく食べる雰囲気を大切にし、強制的な言葉かけは避けたいですね。また、食べることだけでなく、簡単なクッキングや栽培活動にも参加して食への関心を高めるのおすすめです。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

5歳児ですが、うまく箸が使えません。
スプーンとフォークが中心の生活だと箸を持たせてもすぐには正しい持ち方ができないと思います。
まずは箸に慣れることから始めましょう。最初はスプーン併用でも構いませんが、箸で食べやすいメニューを取り入れるといいですね。遊びのなかで、箸で皿から皿へ物を移すのもいいでしょう。
あまり訓練というふうにはやらないで、遊びとして楽しくやることが大切です。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

食事に時間がかかりすぎる子どもには?
食事に時間がかかる原因について、おしゃべりが多いのか、食べる意欲がないのか、好き嫌いのせいで食べようとしないのか、食事中の子どもをよく見てみましょう。おしゃべりのせいで遅くなっているのなら、「◯◯おいしいね、食べてみようよ」と声をかけて食事に集中させることが大切です。あまり時間がかかる場合は、残してもよいと思います。だらだらと食べるのではなく、「ごちそうさまにする?」と子どもに確認して終わらせましょう。「食べる」と主張するなら、そばについて食べるのを優しく見守りながら声をかけましょう。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

食べ物の好き嫌いが激しいのですが…。
まず、「嫌い」の理由をキャッチしましょう。見た目なのか、匂いなのか、なにが嫌なのかわかったら、嫌なことをしなくてもいいように考えます。匂いや苦みが嫌ならば、調理の工夫で変わることもあります。
嫌な食材を取り分けて、残してもいいからほかのおかずは食べられるようにすると、食べられる範囲が変わってきます。大切なのは、食事を嫌な場面にしないことです。おいしいと思って食べる幸せを、ちゃんと味わって育ってほしいのです。いつか食べられるようになることを願って、気長に食べ物とのつきあい方を学んでもらいましょう。

清水玲子(元東洋大学 教授)

3歳を過ぎてからの
トイレット・トレーニングの方法は?
トイレット・トレーニングの目安として大切なのは、おしっこをしっかり溜められるようになっていること、おしっこがしたいと感じられるようになっていること、そしておしっこはトイレでするのだということを理解できるようになっていることです。3歳を過ぎていれば、目安は3つともおそらくクリアしているでしょう。できるだけおしっこがしたくなったら教えてもらい、おむつを外してトイレに行くようにかかわっていきましょう。子どもは、おしっこをしたいことを自覚し、それを伝えること、そして、トイレで排泄することを試行錯誤しながら経験し、大人のサポートによってその行動様式を学んでいけるでしょう。排泄機能の成熟は本人の自由にならないため、うまくいかないときは原因を考えるとともに、本人の気持ちを尊重し、負担感や罪悪感を持たせないことが重要です。失敗してもしからないであげてください。

清水玲子(元東洋大学 教授)

登園を嫌がるのですが…。
子どもはお母さんが大好き! お母さんをとにかく必要としています。その大好きなお母さんから離れるのですから、大きなふんばりがいるのでしょう。
「お母さんが大好き、園も大好き」になるまで、焦らずに待ってあげましょう。「先生も○○ちゃんのこと大好きなんだよ」と日頃から伝えていると、より早く「園も大好き」になることでしょう。

木藤尚子(自然幼稚園 元園長)

外遊びをあまりしたがらないのですが…。
紙飛行機や風車、たこなどがあれば、外で走りたくなるものです。そういったものを買ったり、作ったりしてみてはいかがでしょうか。
丈夫な骨格の土台を作る幼児期には、太陽光と運動が必要不可欠です。よい季節には少しでも、外で活動ができるとよいですね。

野上秀子(久我山幼稚園 園長)

5歳児になっても赤ちゃん言葉なのですが…。
「カ行」「サ行」などの発音が不明瞭であったり、ほかの音に置き換えられたりすることは「機音障害」といわれ、幼児期にはよくみられます。一般的には小学校低学年ごろまでに自然と直りますが、聴力や
発音器官に何らかの異常があると、正しい構音発達が妨げられてしまいます。このような疑いがあるときは、専門機関へ相談するとよいでしょう。子どもの発音を直そうとやっきになり「○○って言うのよ」と発音を否定したり、無理矢理発音を言い直させたりはしないでください。子どもが「ママ、タカナだよ」と話しかけてきたときに、「あっ、ほんとだ。サカナだね。ママも見えたよ」と会話のなかで大人が正しい発音を聞かせるように心がけるとよいでしょう。

濱名 浩(立花愛の園幼稚園 園長)

5歳ですが、文字にまったく興味を示しません。
生活のなかにあるひらがなに意識を向け、遊び感覚で取り入れてみましょう。

 ◆飼育している動植物に名札をつけるなどして関心を高めます。
 ◆興味を持ち始めると、ほかのひらがなについても疑問を持ちます。
  目の届くところにひらがな表があるといいですね。
 ◆しりとり、反対語遊び、逆さ言葉などを取り入れましょう。
  かるたなどのひらがなを目にするゲームも効果的です。

後藤光葉(西鎌倉幼稚園 園長)

お気に入りのタオルが手放せないのですが…。
洗濯もままならず、衛生的にも心配だし、ほかの友達からそのことでいじめられないかと心配にもなりますね。3〜4歳にかけて、子どもはルールというものが必要であるとわかりはじめ、我慢したり「いけない」と言われたりすることで子どもなりにストレスが強くなります。そして、気持ちを調整するために指しゃぶりなどの癖が出たり、タオルや人形などの愛着物に頼ったりするのです。もっと大きくなると、違うことで気持ちの調整ができるようになります。成長にとって必要な姿だと理解して、そのことについてやめるように話したりしないようにしたいものです。

清水玲子(元東洋大学 教授)

つめをかむ癖をやめさせるには?
一般的に、つめをかむ癖などは寂しさを紛らわすためといわれています。
気持ちに丁寧に寄り添い、「だめよ」と言うだけでは直らないと理解しましょう。まずは優しく見守り、スキンシップをとるなど、安心できる環境を作っていきましょう。つめから血が出たり、ばい菌のついた手を口に入れたりすることは、衛生的に心配です。
じゃんけん、手遊びなど、簡単にできる遊びを積極的に取り入れてみましょう。特に両手を使う指遊びは、楽しさを感じ、つめをかむという行為から意識が遠ざかります。少し長い目で様子を見ることも大切です。

後藤光葉(西鎌倉幼稚園 園長)

まもなく4歳になりますが、ちょっと物をいじったり、外で遊んだりして手が汚れるとすぐに手を洗いたがります。
子どもたちは日々の経験の中で、目の前の小さな不安が解消されると、自分の力で次への成長をしてくれるはずです。言葉かけと関わりで少しずつ不安を取り除いていきましょう。例えば、砂汚れなら、「パタパタするだけできれいよ」。のりを使ったあとは「ふきんでふけば大丈夫よ」。物をいじったあと、気になるなら手で払ってあげて「これはきれいになるおまじない」。など、洗わなくても大丈夫であることを伝えていくのがよいのではないでしょうか。本人の不安感を排除しつつ、大人が自信をもって対応しましょう。但し、「不安」は、特に感覚の分野では個人差が大きいので、本人の困り具合をよくみてあげてください。また、一生懸命になるあまり、一度にたくさんのことを要求しないようにしてくださいね。

佐藤和代(保育士・臨床発達心理士)

小学校入学が目前ですが、いくら注意しても、自分の持ち物をあちこち置き忘れてなくしてしまいます。
まず、しつけが不足しているからだとか、だめな子だとか、そういう気持ちを取り払いましょう。きっと、その子なりに気をつけようとがんばっているはずです。しかし、本人は目の前の刺激に気を取られる方が先になってしまうのでしょう。「忘れ物はしない」とか「だめでしょ」という注意はほとんど効果がありません。忘れそうだなと予想して、できるだけ直前に「○○持った?」とこまめに声をかけたり、「○○を××へ置くこと」などと、本人との間に具体的なルールを作っておくと、本人が気づく助けになります。そして、見守りとさりげない点検をしつつ、できているのを見つけたら大いにほめましょう。

佐藤和代(保育士・臨床発達心理士)

お友達と鬼ごっこやカードゲームなどで遊んでいて、負けると怒ったり、ルールを無視したりしてしまいます。
まず、ルールが理解できないのか、勝ちたい気持ちが抑制できないのか、両方なのか見極めてください。前者であれば、事前にルールをわかりやすく説明しましょう。後者であれば、ゲームや競争は、勝つこともあれば、負けることもある、勝つと嬉しい、負けると悔しい、でもまたやれば勝つこともあるよ、ということをいっしょに遊びながら根気よく態度と言葉で伝えていきましょう。
感情を抑制できず、負けると怒ってしまう場合は、ゲームを続けられないよ、とはっきり告げて、ちょっとゲームから離れさせて落ち着かせるのも一案です。ただし、ルール違反の罰としてではありません。ですから、「悔しかったんだね」などと声をかけた方が本人に考える時間と乗り越える壁を示せると思います。

佐藤和代(保育士・臨床発達心理士)

ほかの子をすぐに叩いてしまうのですが…。
自分の思っていることをうまく説明できずに手が出てしまうようなら、その子が自分の思いを言葉にできるように援助しましょう。叩こうとしたり叩いてしまった場面では、すぐにしからず状況や理由を尋ねてみてください。「なぜ叩いてしまったのか」というよりも「○○ちゃんはどうしたかったの(どうしてほしかったの)?」ということを感じ取り、「ああ、そうだったの」と共感してみてください。
自分の思いが受け入れられたと感じると、その子は率直に自分がしたかったことや、相手にしてほしかったことを話し始めるでしょう。たどたどしい言葉の端々から思いをくみ取って、相手の子どもに伝えてみてください。そうしたうえで、叩くという行動を自分でどう思うか、叩きたくなったとき、これからどうすればよいのかをいっしょに考えることが大切です。大人の助けをかりながら、思いを伝えていくことから始め、何度も積み重ねていくうちに、自分の言葉で伝えていけるようになるでしょう。

濱名 浩(立花愛の園幼稚園 園長)

最近、石を次々とひっくり返し、その下にいる虫を踏みつぶして遊んでいます。やめさせるにはどうしたらよいでしょうか。
調べたり、想像したりして、まずは虫を知ることが大切です。 この虫には足は何本あるのか、どこにすんでいるのかなど、いっしょに図鑑などで虫のことを調べるのはどうでしょうか? さらに、日本のアリと外国のアリは話せるのか、などと虫の世界を想像してみるのも楽しいかもしれません。そうすることで子どもの心の中で虫が、「人間と変わらずひとつの命をもっているもの」へと見方が変化していきます。

松村正幸(鶯谷さくら幼稚園 園長)

ヒーローになりきって、友達に加減をせずにキックやパンチをしてしまうのですが…。
ヒーローごっこは、子どもにとって万能感を持てる遊びです。ただ、強いキックやパンチををされた友達はたまったものじゃありません。された側の気持ちを伝え、自分の行為が相手を傷つけたこと、今後は本気でしてはいけないことを何度も伝えましょう。それでも直らないなら、反対に悪者や怪獣になってもらい、同じくらいの強さのキックやパンチを受けてみる、という提案をしてみてはいかがでしょうか。本当にするのではなく、自分がしたことを相手からされる怖さと痛さを想像してみることで、自分を抑制していく力になります。

濱名 浩(立花愛の園幼稚園 園長)

友達とのトラブルがあると、キレて、かみつく、物を投げるなど、歯止めがきかなくなります。友達にけがをさせてしまうかもしれないと不安です。どうしたらよいでしょうか?
かみつく、物を投げつける、叩く、などの行為は理由のいかんを問わず制止し、やってはだめなことと、はっきり伝えましょう。その場に大人が居合わせない場合は、まず本人の話を聞き、キレてしまったときの望ましい身の処し方のアドバイスをする必要があります。 キーワードは、「子どもたちは、どうしたらよいかがわかると、よい行動がとれる」です。繰り返される場合は、気持ちの中に、友達との関わりの中で、どうしたらよいかわからない緊張と不安があることを察してあげてほしいです。

佐藤和代(保育士・臨床発達心理士)

絵を描く楽しさを教えるには?
実は、絵を描くことは、とても高度な技術。大人も「好きな絵をのびのびと描きましょう」と言われたら、ドキドキしてしまうはずです。まずは画用紙と触れあう楽しさを伝えていきましょう。
 ①身近なものを画用紙の上で形にし、想像力を育てましょう。
 ②クレヨンやパステルなど、好きな色でどんどん描いてみましょう。
  「上手ね」などと評価する言葉は使わず、
  
「この赤いところ好きよ」
  「お屋根がしっかり塗れているね」
  など、絵の表現を認める言葉かけは子どもたちの自信を高めます。
 ③白い画用紙だと何を描いてよいのかわからず、
  
緊張してしまう場合もあるようです。
  新聞紙や包装紙など、最初に色や文字があると
  
気軽に落書きから始められるかもしれません。

後藤光葉(西鎌倉幼稚園 園長)

清潔感を身につけさせたいのですが…。
まず大切なのは、「きれいにすると気持ちいい」と感じられるようにしていくことです。
清潔感を気にするあまり、汚れを気にしたり、常に手を洗ったりするようになっては、のびのびと遊べませんし、神経質になっても困ります。食事の前、外から帰った後など無理のないように生活の流れの中で取り入れてみましょう。言葉だけでなくいっしょに行い、手洗いの意味や気持ちよさを伝えていくとよいでしょう。
鼻水は、4歳でも鼻をかめる子とかめない子がいます。大人がティッシュを携帯し、見かけたら手助けするうちに、快適さを実感し、自分から気にするようになっていきます。

亀ヶ谷忠宏(宮前幼稚園 園長)/永野薫(宮前幼稚園 教諭)

片付けを身につけさせたいのですが…。
片付けはみんな苦手! とおおらかにとらえていきましょう。しかし、片付けの習慣を身につけることも大切です。苦手な時間も有意義となるような工夫をしてみましょう。 まずは、子どもだけに任せるのではなく、大人も一緒に片付けましょう。時にはお片づけをゲーム遊びにする工夫も大切です。「3つ片付けよう」「ママとどっちが速いかな?」と声をかけて競争したり、「赤色のおもちゃを見つけよう!」などと色や大きさ別に片付けたりすると楽しめますね。 また、片付ける場所を固定し、一目でどこに何を片付けるかわかるようにしましょう。 遊びを中断しなければならない時間をあらかじめ伝え、そろそろ片付けの時間だな、と自分でけじめをつけられるようになることも大切ですが、遊びがあとからまた続けられるように残しておくなど、子どもの気持ちを受け止めることも大切です。「本当に遊びたいときは、わかってくれる」と安心して別のときには片付けができるはずです。

後藤光葉(西鎌倉幼稚園 園長)

物の大切さが伝わらないのですが…。
今は使わないものや、最近遊ばなくなったおもちゃなど、子どもといっしょに整理してみてはどうでしょうか。使わなくなったものもすぐ捨てるのではなく、例えば「お山のくまさんにあげようか」などと、誰かに譲ることがイメージできる言葉かけをして、本当に必要なものなのかを子どもといっしょに考えてみましょう。
子どもは、大好きなものは大切に扱います。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

3歳ですが、「自分でやろう」という意欲がなく、着替えなどができるようになりません。
意欲が出ない原因は、どこからきているのでしょうか。生活リズムが整っていない、体がしっかり育っていない、大人がいつもなんでもさっさとやってしまっている、ほめてもらったり励ましてもらったりした経験が少ないなど、いろいろな場合があります。生活リズムが整っていない場合は、早寝早起きを意識して習慣づけ、朝ごはんをしっかり食べさせましょう。体が育っていない場合は、戸外での遊びを多くして足腰を育てたり、手遊びをしたりして、すぐ疲れないような体に育てることが大切です。大人がいつもなんでもやってしまっているようなら、時間はかかっても、ほめたり励ましたりしながら自分でする機会を増やしていきましょう。いずれの場合も、楽しみながらほめたり励ましたりして、やってみようという意欲がもてるような言葉かけが大切です。

篠原秀子(おさなご保育園 理事)

質問しても、反応が乏しく、なかなか受け答えをしてくれません。
質問が難しい場合もあります。質問の仕方や難易度を変えてみましょう。何気ない会話、例えば「夕飯なに食べたい?」と聞いたとき、答えかねていたら、「今日の夜ごはん、なに食べたい?」「…」「お肉? お魚?」「焼き肉? 焼いた魚?」というように、聞き方を変えてみましょう。答えやすい要素を入れ、難易度を下げていってみてください。返事を「うん」と「ううん」で済ませる子には、答えてほしいことを大人が「『ぼくは○○がやりたいです』かな?」と言語化し、それを「言ってほしいな」と誘導するのがよいかもしれません。

佐藤和代(保育士・臨床発達心理士)

チャイルドブックホームページはこちら