砂遊びのとき、砂を口にもっていってしまいます。安全に砂遊びを楽しませるには?
砂遊びは、子どものイメージを広げていく土台になる、大切な遊びです。月齢が小さい子が砂を口に持っていこうとしたときは「砂は食べられないよ」と、さりげなく手の砂を落としてあげましょう。10か月以降になると、まねっこが盛んになってきます。大人が砂を食べ物に見立てて食べるまねなどをして、砂遊びの遊び方を知らせてあげることで、楽しいものになっていきます。もし砂を口に持っていったときは速やかに口の中の砂を取り除いて洗い、「気持ちよくなったね」と言葉を添えることで、子どもは砂が口に入る感触の悪さを知っていくでしょう。

市枝恵子(おさなご保育園 元園長)

4ヶ月ですが、絵本に関心を示しません。まだ早いのでしょうか?
たしかに読み聞かせを始めるのは4ヵ月頃からという説もありますが、私は赤ちゃんが絵本に興味をもちだすのは、生後7ヶ月ごろからだと考えています。このころになると、対象となる「物」の存在を知るようになり、最初は内容はわからなくても、絵本という物に対する興味と、絵本を読んでくれる大人への興味からじっと耳を傾けるようになります。絵本の絵にも時々目線を向けるようにもなってきます。
その繰り返しの中で絵本を読んでもらう形ができあがっていきます。
絵本を通して大人の優しい声かけを受けることは、言葉への関心を育みます。一見子どもが絵本に関心を示しているように見えなくても、早い時期から絵本に出会わせてあげているのはすばらしいことです。
読み手が焦らず、楽しみながら読んであげることが一番です。

徳永満理(おさなご保育園 理事長)

10か月ですが、名前を呼んでも反応がなく心配です。
ふたつの可能性があります。ひとつは、聴覚の問題です。音に対して反応があるか、喃語が出ているか、日常会話程度の音に対しての反応にも気をつけてみてください。反応がにぶければ、耳鼻科受診をお勧めします。もうひとつは、大好きな遊びに夢中になって、外からの刺激をシャットアウトしている場合です。人との関わりを好まない、触れられることを嫌がる、目を合わせようとしない等がなければ、集中力があるということで心配はいらないでしょう。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

人見知りが激しいのですが、どうしたら?
これまでの育ちの環境やその子の気質など、さまざまな条件をふまえた健康な発達の現れとして、人見知りや、特定の人へのこだわりが出てきているのではないでしょうか。子どもの気持ちを十分に受け止めてあげましょう。激しく泣くときは無理に関わらせることなく、時間をおいて様子をみるようにするとよいですね。大好きな人が見守ってくれれば、ほかの人にも安心して気持ちを通わせていくことができるようになっていくでしょう。

若林宏子(社会福祉法人はとのさと福祉会 常務理事・統括園長)

人見知りをまったくしないけれど大丈夫?
赤ちゃんはよく知っている人に対しては笑顔を向けるけれど知らない人には笑顔は少なくなります。6か月前後から知らない人にあやされると泣くようになります。これが人見知りの始まりですが、ピークは8か月頃です。子どもによって大きな個人差があります。知らない人に話しかけられると甲高い声で泣き続ける子どもも、全く感じてないかのような子もいます。この個人差は「気質」と呼ばれ個性とは区別されますが、気質を基盤にして2〜3歳ころ性格が形成されます。表情は人の感情の出口です。できるだけお子さんに関わり一緒に遊んでみましょう。心地よい遊びの表情が伝わり合い、表情を読み取る力がついていくと、次の成長へとつながってくることでしょう。

若林宏子(社会福祉法人はとのさと福祉会 常務理事・統括園長)

1歳半の子どもの母です。登園時、私と離れるときに子どもが大泣きします。
別れるときに大泣きしても、そのあとけろりとして遊びだすのであれば、なんの心配もありません。しかし、毎朝出かけるときに泣かれるのは、親にとってはつらいものです。すぐに泣かないようにするのは難しいかもしれませんが、笑顔で「行ってくるね」と声をかけ、「おててをパッチン」や「握手でバイバイ」など、毎日同じ方法で別れることを習慣にすると、それが気持ちの切り替えの儀式となり、やがて泣かないで別れられるようになるでしょう。

桃澤智恵子(あひる保育園 元園長)

9か月ですが、自分の周りのものにあまり関心を示さず、おもちゃが目の前にあるのに手も出ません。
おもちゃの好みもいろいろあります。また、おもちゃ以外のもので興味をひくものはありませんか。赤ちゃんだからおもちゃが好きとは必ずしも言えません。台所用品などの道具も試してみましょう。物や人に対しての反応の表し方の程度には個人差がありますが、言葉の発達や人との関わりのある行動が伸びている様子があれば、大丈夫でしょう。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

2歳児になっても滑り台やブランコを怖がります。
大人と揺さぶり遊びやじゃれあい遊びをたっぷり楽しむことから始めましょう。大人が寝転んで脚を高く上げ、足の裏に子どもを乗せて「飛行機ぶんぶん」などをしてあげるのもよいですね。大好きな大人に見守られている安心感が大切です。こういった揺さぶり遊びやじゃれあい遊びのなかで、揺れや高さの感覚などを身につけていくと、最初は大人といっしょに、そのうちひとりで滑り台やブランコを楽しめるようになるのではないでしょうか。

桃澤智恵子(あひる保育園 元園長)

もうすぐ2歳ですが、プール遊びのとき、水を嫌がります。
水への慣れ具合は一人ひとり違います。水遊びのどこが嫌いなのか見極め、少しずつ楽しむことから始めましょう。顔に水がかかるのが嫌なのかもしれません。冷たい水が嫌なのかもしれません。原因を探りながら、できることから遊び始めましょう。
蛇口やホースの先から流れ出る水に手をかざすと、水はいろいろな形に変化するので、これだけでもとてもおもしろい遊びになります。時には、水が顔にかかったりもしますが、そのときは、「水がかかっちゃったね!」と笑い飛ばすのです。子どもは雰囲気にのまれやすいので、思わず笑ったりします。子どもを楽しませながら慣れさせていきましょう。

桃澤智恵子(あひる保育園 元園長)

砂や土が手に触れるだけで嫌がって泣き出してしまいます。
いろいろな感触に敏感なのかもしれません。砂や土が汚いと思い込んでいるのかもしれません。無理強いするとますます嫌いになりますから、気長に取り組みましょう。毎日の生活の中で意識的にいろんなものを触らせてみるのもいいでしょう。細かくちぎった紙を使ってごっこ遊びをしたり、お散歩の時に葉っぱを拾って遊ぶなどしてみましょう。公園では、砂場で楽しそうに遊ぶお友だちを見るところから始めましょう。そして、大人が砂で山を作り、それをスコップで崩すなどの遊びをしてみるとよいかもしれません。まずは、砂が手につかないようにして、とにかく楽しく遊ぶことからやってみてください。

桃澤智恵子(あひる保育園 元園長)

捕まえた虫を足で踏んだり、手でつぶしたり、遊びながら殺してしまいます。命の大切さを教えたいのですが。(1歳10ヶ月)
1歳10ヶ月といえば動く物に興味を持つようになる時期です。アリの行列などを見つければ、当然指でつまんでみたくなります。つまんで触っているうちに指に力が入り、つぶしてしまうこともあるでしょう。 そのときに大人がどんな対応をするかが重要です。頭ごなしに叱ったりせず、「アリさんが痛い痛いって泣いてるから、やめようね」などと、優しく注意することが大切です。 いっしょにアリを観察するなどして、アリも生きていることを感じさせましょう。殺してしまう行為を繰り返す子どもも、この時期なら殺すのをおもしろがっているのではなく、小さなもの動くものへの興味からの行動と見る方がよいでしょう。

徳永満理(おさなご保育園 理事長)

2歳になってもなかなか言葉が出ないのですが…。
一般的な言葉の発達は1歳半で単語が数個、2歳で二語文とされています。ただ言葉の発達は個人差が大きく、性差もあり、一般的には女の子が早いです。言葉には自分から話す「発語」と、言われていることがわかる「理解」の二つの領域があり、理解が問題です。こちらが言っていることを理解して行動できるなら大きな問題はないでしょう。そうでないなら小児科か耳鼻科の受診をおすすめします。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

手洗いを習慣づけるにはどうしたらいいですか?
手洗いは、0歳児のころから働きかけてあげるとスムーズに身につきます。生後4〜5か月ごろになったら、離乳食の準備期に入るのをきっかけにして、流水に慣れていくとよいでしょう。
1歳を過ぎると、立った姿勢がとれる場合が多いので、足台を置くなど自分で洗えるように環境を整えてください。高い位置の場合は抱っこで洗いましょう。
赤ちゃんは、周りの大人がしているのを見ながらまねっこで覚えていきます。せっけんの手洗いを始めるときは、大人が洗っているところをきちんと見せてあげましょう。
やる気満々で生真面目な1〜2歳児期に、大人がどれだけていねいにつき合ってあげられるかが、習慣づけのポイントです。使い始めのせっけんは、ポンプ式の泡石けんが使いやすいと思います。

山口千恵子(おさなご保育園 看護師)

パンツをはく練習はどのように進めたらよいでしょうか?
着替えは大人といっしょに楽しみましょう。パンツやズボンをはくときは「トンネルバア〜しようか」「出てこい出てこい、あんよ」など、足を通したい気持ちになるような言葉をかけてあげます。途中までパンツをあげる手助けをして、最後は自分でするようにしましょう。できたら「自分で上手にパンツはけたね」とできた喜びを共感し合い、達成感を味わえるようにしましょう。着替えを嫌がるときには、2つのパンツを並べて子どもに選ばせます。自己決定することで納得して着替えることができますよ。

市枝恵子(おさなご保育園 元園長)

もうすぐ2歳ですが、自分のしていることを止められると、気持ちが抑えきれず泣きやみません。
「自分のしていることを止められると」ということは、主体性はしっかり現れていて、自分の要求を通そうとして泣き出し、周囲を見ることができないという状況でしょう。
していたことを、今どうしてやめなければならないのかをちゃんと伝え、どうしたいのかを聞いてあげることが大事です。それでも抑えられず泣きやまないときは、言葉が耳に入っていないので、しばらく様子をみて、気持ちがおさまるまで待ってあげましょう。そして、気持ちがおさまったときにまた気持ちを聞いてあげ、なぜ今やめなければならないかを話していきましょう。
このように、気持ちを聞く、待つ、周りが見えることにつながる言葉かけを繰り返していくことで、周囲への目を向ける気持ちを育てていきましょう。

篠原秀子(おさなご保育園 理事)

かみつき癖があって困っています。
かみつきの原因は、子どもによってそれぞれ違いますが、1歳児に多く見られます。1歳児期は、自我が芽生え、自己主張がさかんになる頃ですが、まだ言葉で上手に意思を伝えられません。このようなときに、ひっかいたり、押したり、たたいたり、かみついたりするなどして表現します。
かみつく前に、子どもの気持ちをくみ取り、言葉で代弁をしてあげることで、予防できることもあると思います。かみついたときは、かみ跡を見せるなどして、それはよくないことだということをきちんと伝えることも大切です。伝え方は、厳しくしかることでかえってひどくなったりする場合もあります。
まずは子どもの要求を聞き、「○○したかったね」と共感したあとでよくないことを伝えてあげましょう。
言葉で伝えられるようになったら、徐々に収まっていくと思います。

山口千恵子(おさなご保育園 看護師)

自分で歩けるのに、すぐ「だっこ」と座り込んでしまいます。
「だっこしてほしい」という子どもの要求は、悪いことでもなんでもありません。甘えたいときに親に抱いてもらうことは、子どもにとってほんとうに幸せなことです。
子どもは、依存しつつ自立していくものです。ほめたり、励ましたりすることで、がんばろうという気持ちがわいてくるでしょう。また次への見通しを語ることで、自分で立ち直って行動することもできるようになります。
座り込んだときは、「あ! あそこのイヌを見に行こう!」とか、「公園で滑り台しよう!」などと次への見通しを話したり、「○○ちゃん、あそこまで走っていったら、お母さんびっくりするわ。いっしょに走ろうか」など励ましの言葉をかけたりして、自ら歩きだすような働きかけをすることが大事です。
また、” すぐだっこする” のでなく、時間がかかっても、あちこち自然を見ながら、話しながら歩くことを大切にしていきたいですね。

篠原秀子(おさなご保育園 理事)

子どもが大泣きすると、つい感情的になってしまいます。
ほめることで、大人との信頼関係が育ちます。また、適切なほめ方、叱り方を知ることで、子どものだだこねも減っていくことでしょう。 ほめるときは、結果の評価でほめたり、できたことをほめたりするのでなく、子どもの行動、がんばったことに共感してほめましょう。 しかるときは、くどくど言ったり、人格を否定するような叱り方ではなく、子どもの行動に対してしかるようにしましょう。 また、楽しい遊びをたくさん経験することで、生活が楽しくなり、子どもも落ち着いてくると思います。

篠原秀子(おさなご保育園 理事)

もうすぐ3歳ですが、絵本やおもちゃを投げたり踏んだりします。物の大切さを教えたいです。
多様な遊び方を学び、楽しさがわかれば、投げたり足で踏んだりすることはなくなっていきます。大好きな大人に絵本を読んでもらい、絵本の楽しさがわかれば、絵本も大好きになります。そのとき「絵本は投げても踏んでもいけない。ページはそっとめくるもの」と教えていけば、子どもには伝わっていくものです。 今まで身についた習慣は変えるのに時間がかかりますが、必ず変わっていきます。おもちゃの遊び方も同じです。最初は大人と楽しくいっしょに遊びましょう。一つひとつの遊び方がわかっていけば、ひとりでも遊べるようになり、投げたり蹴ったりすることはなくなっていくでしょう。「大事大事ね」と最後に片付けも忘れずに。

桃澤智恵子(あひる保育園 元園長)

絵本を見ているときに、じっと座っていられません。(2歳8ヶ月)
2歳児は、言葉の理解も興味も個人差が大きい時期です。読み聞かせをした絵本が少し難しいということはないでしょうか。もう赤ちゃんでないからと赤ちゃん絵本から卒業せず、もう少し低年齢向けの絵本も読んであげると、子どもの気持ちに添え、集中にもつながるのではないかと思います。

徳永満理(おさなご保育園 理事長)

はさみはいつごろから使えるようになりますか?
はさみの使用は、指でじゃんけんのチョキができるようになるころに始めるとよいでしょう。初めは、はさみをていねいに1回操作すれば切れてしまう細長い紙を用意し、はさみを操作する楽しさを味わいます。さらに切った紙を使って遊ぶことで、活動の見通しと楽しさが伝わることでしょう。繰り返すうちに徐々に操作が巧みになっていきます。すると、閉じた丸の線を大ざっぱですが直線切りを重ねて切り取ることもできるようになります。

若林宏子(社会福祉法人はとのさと福祉会 常務理事・統括園長)

トイレには行くのですが、すぐにおしっこしたくなるようで、ズボンが濡れてしまいます。
ぼうこうの蓄尿量には個人差があります。おしっこをしたくなる感覚の回数や、間隔を気にするようにして、よいタイミングでトイレに誘えるとよいですね。
成功の体験が増えると自信につながって、少しずつ失敗の回数が減っていくと思います。トイレに座り、「おしっこが出た!」という爽快感を味わうことで、徐々に身につきますので、焦らず、しからず、見守ってあげてください。
ただし、神経性の要因が考えられる場合もありますので、心理的な援助が必要な場合もあります。どうしても改善されない場合は、一度、医師に相談するのもよいと思います。

山口千恵子(おさなご保育園 看護師)

遊びに夢中で、なかなかトイレに行こうとせず、もらしてしまいます。
意味もなく拒否しているのではなく、「遊びたい!」という要求があるからで、意欲的なのですから、心配はいりません。 尿意や便意を感じても、ぎりぎりまで我慢する子どももいますので、お尻をもぞもぞさせたりしてシグナルを出したら「トイレに行こうね」と声をかけてください。おもらししたら「次は出る前に行こうね」などと声をかけてあげながら、気長に見守ってください。 トイレですると気持ちいいなあという感覚が、排泄の自立につながります。失敗をしからずに、成功をほめて、自信をつけてあげましょう。 また、排便や排尿のしくみなどに関心をもたせることも大切です。 2歳くらいから、「自分の体はどうなっているのかな?」と、体への興味をもち始めます。体の絵本を読んだりしながら「元気うんちはどんなのかな?」「おしっこはどこで作られるのかな?」など、トイレでおしっこすることの気持ちよさをお話ししてあげましょう。

山口千恵子(おさなご保育園 看護師)

上の子の赤ちゃん返りに、どう対応したらいいですか?
お母さんが赤ちゃんのものになったようで不安でいっぱいなのでしょう。お子さんの気持ちに十分寄り添ってあげることが、とても大切です。お母さんはあなたのお母さんなのだと伝え、また抱きしめてあげるなど愛情を形で示してあげましょう。それが、お子さんの気持ちに向き合い、より快適な心理状態を保障する心の栄養になります。2人目のお子さんが生まれたとき、家族のなかで上のお子さんが中心に物事が進められるといいですね。愛をいっぱい感じたとき、下のお子さんへその愛を分かち合うことができるようになります。優しいお兄ちゃん、お姉ちゃんであろうとしますよ。

若林宏子(社会福祉法人 はとのさと福祉会 常務理事・統括園長)

お昼寝を嫌がるのですが…。
子どもの睡眠は、脳と身体の成長にとって大切です。睡眠リズムは、乳児期は、午後、夜間3回から1回になり、幼児期には昼寝をしなくなっていきます。睡眠の目安は、0〜1歳で13〜20時間、1〜3歳で12時間くらいになりますので、夜間とお昼寝で調整します。眠りの質や運動量との関係で、お昼寝しにくい子どももいます。
また睡眠、覚醒、体温、ホルモンの分泌リズムは、規則正しい生活をすることによって促されます。日替わりで生活リズムが変わってしまうと、それぞれの周期が狂って、疲れやすくなったり、食欲や集中力が低下したりして、日中ボーッと過ごしてしまうことがあります。
むりに寝かすのではなく、自分から「寝よう!」と思えるように、24時間の生活リズムを整えることが早道です。体と脳のリズムが整うまでは、眠れなくても、絵本などで安心したあとに部屋を暗くして体をそっとなでたり、マッサージをするなどして休息させてあげましょう。

山口千恵子(おさなご保育園 看護師)

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